Twitterの利用規約を読む 〜(1)適用範囲とプライバシー

Twitterの利用規約を読み解き、Twitter が何を気にして、どのようなリスク回避をしようとしているのかを探ります。

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目次

まずは世の中でよく使用されているサービスの代表とも言える、Twitter を一つ目の題材としてみたいと思います。 なお、Twitter は巨大なサービスであり、関連規約も少なくありません。そのため、今回はユーザと Twitter との間を規定する一番基本的な規約であるサービス利用規約 を読むことにします。

Twitter とは?

まずは Twitter とは何なのか。公式の定義をみてみましょう。

Twitterとは

Twitterは「いま」起きていることが見つけられる場所です。Twitterを利用すれば、音楽、スポーツ、政治、ニュース、芸能、日常の出来事など、「いま」起きている自分の興味があることを見つけて話題に参加できます。

特に仕様や機能に触れることなく、ユーザ目線で何をすることができるのかということに答えているだけのようです。

ただ、当然ながら、これだと利用規約を考える上ではほとんど参考になりません。まずはユーザはどのようなことができるのか、運営者たる Twitter は何をしたいのかをサービスの内容から考えていきたいと思います。

Twitter では何ができるのか?

ユーザと運営者たる Twitter の立場それぞれで考えてみます。

ユーザがしたいこと、できること

ユーザが Twitter でしたいこと、通常は友人等とのコミュニケーションであったり、まさにいま起きている情報の収集であったり、ひたすら独り言をいうためであったり、というところかと思います。

ところで、このユーザとは誰を指すのでしょうか。これは一義的には定まりません。Twitter はどのように考えているのか、規約を見てみましょう。

(米国以外に居住の場合)

本サービス利用規約(以下、「本規約」と称します)は、当社の様々なウェブサイト、SMS、API、メール通知、アプリケーション、ボタン、ウィジェット、広告、およびeコマースサービスなどのTwitterのサービスと、本規約に関連するTwitterの他の対象サービス(略)(以下、「本サービス」と総称します)、ならびに本サービスにアップロード、ダウンロードまたは表示される情報、テキスト、リンク、グラフィック、写真、動画、その他のマテリアルやアレンジされたマテリアル(以下、「コンテンツ」と総称します)にアクセスし、利用する場合に適用されます。本サービスを利用することによって、ユーザーは本規約に拘束されることに同意したことになります。

Twitter - サービス利用規約 (2017年10月11日確認)

本規約では、「ユーザー」という単語については明確な定義がおかれていません。ただ、内容的には、ウェブサイトやアプリ、Twitter の広告など、Twitter が提供するサービスまたはコンテンツに接触した人はユーザーである、という考え方をしているようです。重要なのは、会員登録した人のみがユーザーであるというわけではないというところですね1

この定義を前提とすると、、、

1. ユーザが Twitter に登録していなくても可能な行為

  1. Twitter が開示している情報を閲覧する
  2. Twitter が提供しているサービスを利用する
  3. Twitter にユーザー登録する

2. ユーザが Twitter に登録していないとできない行為

  1. Twitter 上でテキストをツイートする
  2. Twitter 上で画像・動画等のテキスト以外の情報をツイートする
  3. Twitter 上で返信する
  4. Twitter 上でリツイートする
  5. Twitter 上でいいねをする
  6. Twitter 上で上記の各行為を取り消す
  7. Twitter 上でコンテンツを削除する
  8. Twitter 上でコンテンツを検索する
  9. Twitter 上でプロフィールを登録する
  10. Twitter 上でプロフィールを更新または削除する
  11. Twiter 上でアクセス等の設定を変更する
  12. Twitter を退会する

ざっと思いつくままに挙げても、これらの行為は少なくとも規約上どのように位置付けられているのか、確認する価値がありそうです。

運営者たる Twitter がしたいこと、できること

運営者の立場としては、ユーザによる利用を活性化させつつ、これをビジネスに活かせるようにしておきたいと思うはずです。

そのため、以下のようなことはしたいと思うはずです。

  1. 広告等の表示
  2. ユーザ情報(性別・職業といった属性情報を含む)の収集
  3. ユーザが投稿したコンテンツの所有またはかなり自由度の高い利用
  4. ユーザ情報の販売を含めた、かなり自由度の高い利用

また、以下のようなことは運営のためにできなくてはならないはずです。

  1. ユーザーによるサービスの利用をいつでも停止できる
  2. ユーザーによるサービスの利用方法について、一定の強制をすることができる2
  3. ユーザーのコンテンツをいつでもサービス上から変更または削除できる3
  4. ユーザーに関するほぼ全ての情報を閲覧することができる4

実際に規約を読む 〜 全体構成

それでは実際に規約を見てみます。まず、構成から。

目次

  1. 本サービスを利用できる人
  2. プライバシー
  3. 本サービス上のコンテンツ
  4. 本サービスの利用
  5. 責任の制限
  6. 一般条件

Twitter - サービス利用規約 (2017年10月11日確認)

大項目は 6項目とかなりシンプルなつくりです。ちなみに、各項目は「条」を単位としています5

「1. 本サービスを利用できる人」では何を定めているのか。

本文自体はかなり簡潔になっていますが、内容的には結構重要です。

1. 本サービスを利用できる人

本サービスを利用できるのは、Twitterと拘束力のある契約を締結することに同意し、適用のある法域の法律によりサービスを受けることが禁止されていない者に限ります。ユーザーが、特定の企業、組織、政府、その他の法人のために本規約を受け入れ、本サービスを利用する場合、そのような権限を有していることを表明し保証するものとします。

Twitter - サービス利用規約 (2017年10月11日確認)

Twitter は基本的にグローバルな会社なので基本的には日本のことだけを考えて定められていません。「適用のある法域の法律」というのはまさにグローバルであることが想定されている文言です。いわゆる Twitter とユーザとの間のサービス利用契約の準拠法がどこの国の法律になるのかということが主問題ですが、実は Twitter の利用規約には準拠法の規定がありません。これはかなり珍しいです。準拠法がどの国の法律になるのかは、日本であれば法の適用に関する通則法が定めているのでそれを参照することになります6

ただ、利用規約で準拠法を定めず、「適用のある法域の法律」としているのはおそらく属地的な強行法規7のことも念頭においているのではないかと思っています。例えば、未成年の SNS を利用を禁止する法令があった場合、準拠法とは関係なく適用され得るため、それを含めて「禁止されていない者」のみが Twitter を使用できる、ということを明確にしたいのではないかと思われます。

この「禁止されていない者」というのは良い表現だと思います。日本だと時折「未成年者の場合、親権者の同意を得ていること」というように許可されるべき条件を記載しているようなケースを見かけますが、どのような条件があるかを網羅することは難しく、条件が変わった場合に規約も変更しなくてはならないため、その条件を表に出さない表現が良かったりします。なので、この Twitter のように、「適用のある法域の法律」で「禁止されていない者」のみ「本サービスを利用できる」とするのはユーザー側にすべてを転嫁できている良い表現だと思います。

ところで「拘束力のある契約を締結する」というのも少し引っかかるところかと思います。日本だと契約は原則として拘束力があるため、あまりこういう表現をしません8。おそらくは Twitter のサービス利用契約は無料であるため、英米法の概念である約因(Consideration)を意識したものかと思われます。少なくとも日本ではこの部分についてはそこまで気にしなくて良いかと思います。

いきなり長くなりました。

つぎに進みましょう。第二文は法人等の自然人以外を想定した規定です。あるユーザ(自然人)が株式会社のアカウントを作成しようとした場合、原則論としては、当該株式会社を代表することができる人が機関の名義で行う必要があります。ただ、ウェブサービスではいちいち確認することは現実的ではないので9、ユーザ側の責任で代表権があること(=契約の効果が法人等に帰属すること)を表明保証させ、万が一問題となった場合には表明保証違反を理由にアカウント削除をできるようにしているものかと思います10

「2. プライバシー」では何を定めているのか。

2. プライバシー

当社のプライバシーポリシー(https://www.twitter.com/privacy)は、Twitterサービスをご使用いただく際に当社に提供された情報が、当社でどのように取り扱われるかについて説明しています。ユーザーは、本サービスを利用することによって、Twitterおよびその関係会社がこれら情報を保管、処理、使用するために米国、アイルランド、および/またはその他の国々に転送することを含め、これら情報の収集および使用(プライバシーポリシーの定めに従って)に同意することを理解しているものとします。

Twitter - サービス利用規約 (2017年10月11日確認)

プライバシーポリシーに同意をさせるための条項です。日本だとプライバシーポリシーは同意させる文書ではなく、企業等が勝手に表明しているもの11であるため、本来的には同意は必須ではないはずです。あくまでも記載の内容は、それを表明した企業が主体的に守るものであり、個人情報の主体たるユーザとの間の契約によって遵守する義務を負っているわけではないはずです。

Twitter の場合、日本よりもプライバシー規制がかなり厳しいヨーロッパ等も対象としているため、そこで要求されている同意に引きずられて同意をさせているのではないかと思われます。ただ、「同意することを理解しているものとします。」というのは少し不思議な表現です。見たことがない表現です。おそらくは「同意したものとみなします」などでは真に同意を得られていないとして同意自体が無効になるおそれがあるため、「同意したとは勝手にみなしません。ただ、同意しなくてはならないことは当然わかっていますよね?(=同意して使っていることを強く推認させる)」ということなのではないかなぁ、と思います。ググってもこの表現は Twitter の規約以外に出てこないばかりか、Twitter の中でも2016年9月30日のVersion11 からはじめてでてきた表現のようです12。もしかすると、今後、他の企業も同じような表現に移行するかもしれませんね13

(↓その2に続きます)

Twitter の利用規約を読む 〜(2)コンテンツ

Twitterの利用規約を読み解き、Twitter が何を気にして、どのようなリスク回避をしようとしているのかを探ります。


  1. もちろん、利用しただけで承諾があったとみなせるかは議論の余地があるところだと思いますが、この問題についてはここでは考えないことして進めたいと思います。
  2. 例えば、無作為に第三者をフォローしまくることを禁止したり、Twitter がヘイトであると考えるヘイト発言を禁止したりというようなことが具体例としては考えられます。
  3. コンテンツの変更は著作権がユーザ側にある構成のサービスの場合、著作者人格権としての同一性保持権の侵害ともなりかねないため、本当はあんまりやりたくありません。
  4. パスワード等の機密情報はさすがに運営者側からも見られないようになっているはずです。という意味で「ほぼ全て」です。
  5. 第4条の最終文「ただし、第2、3、5および6の規定は引き続き適用されます。」
  6. この問題はかなり長くなるので別途記事にしたいと思います。
  7. 道路交通法のような行政法規のように、誰であろうとも領域内であれば適用され得る法令をイメージしてもらうと良いかと思います。
  8. もちろん、こういう表現をすることで契約自体の拘束力を強める(=裁判における事実認定で契約の法的拘束力があるとの心証を形成するのに役に立つ)ことにはなり得るので一定の意味はあります。
  9. 広告出稿等多額の金銭が動くような利用契約の場合には、たとえそれがウェブサービスであってもちゃんと確認する(=利用契約を書面で締結し、権限ある名義での署名押印をさせる)のが普通だと思います。あくまでも一般の利用者と変わらない利用をさせる目的だと現実的ではない、というだけです。
  10. 詐称等の場合に本来の名義人に対して責任を負わないようにするための方便でもあるはずです。
  11. 日本の場合、多くの企業は個人情報の保護に関する法律で公表が義務付けられているため、その手段としてプライバシーポリシー等を使用するケースが多いかと思います。
  12. 2016年1月27日のVersion10 までは「承諾するものとします」となっています。ちなみに、原文たる英語版を見てみると、version10/11/12 と一貫して “You understand that ..” となっており、現在の文章に近いニュアンスの表現を使用しています。そういう意味では表現を含め、より英語での表記に近いように統一しただけかもしれません(=つまり、表現としてはあまり意味も意図もない)。
  13. 特に英語では、”You understand that …” というような表現は規約でよくみるものであるため、可能な限り世界的に統一を図りたいサービスではこのような変更をしても悪くないと思います。
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